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AGS JH23B

AGS JH23B

88年は新たに起用したフィリップ・ストレイフとクリスチャン・ヴァンダープレインの設計したJH23のコンビネーションで好成績を期待したAGSことオートモービルズ・ゴンファロネーゼ・スポルティーブ。テクニカルパートナーのエルフからは予選用ガソリンが支給されたこともあってか、予選では自然吸気エンジン搭載勢の中では悪くない速さを見せたJH23だったが、レースでは多くのトラブルによりポイントを獲得できずに終わった。またシーズン後半には、テクニカルディレクターのヴァンダープレインがチーフデザイナーのミシェル・コスタとマネージャーのフレデリック・ダイノーを引き連れてライバルチームのコローニに移籍してしまい、技術面を支える人材が不在となってしまった。それでもチームオーナーのアンリ・ジュリアンはさらなる飛躍を目指して、チームを2カー体制に拡大することを決める。ヴァンダープレインの後釜には元リジェのクロード・ガロピンを迎え入れたAGSであったが、ニューマシンの開発には全く手がついていなかった。加えて89年は予備予選の規模が拡大され、この増えた1台分の枠は予備予選の参戦が義務付けられてしまった。そしてもっと深刻な問題だが、チームには大口のスポンサーがなかったことである。このように何もかもが足りない厳しい状況であったにもかかわらず、ジュリアンは無理を押して体制拡大を図った。しかしAGSを支援しようというスポンサーは現れず、ついにジュリアンはチームの株式売却を決定した。株式を得たのは前年にAGSに対していくらかの資金援助を行い、ショーモンの町長を勤めたフランスの実業家であるシリル・ド・ルーブルだった。彼をAGSに引き合わせたのはストレイフだったという。チームの所有権はルーブルに移転されたが、その後も引き続きジュリアンが取り仕切ることが決まり、AGSは新たなスタートを切った。とはいえまだニューマシンは形すら出来上がっていなかったのだが。


AGS JH23B_2

スタッフの離脱から89年シーズン用マシンが用意できず、序盤をしのぐために用意されたのがこのJH23Bである。改修はチーフエンジニアのクロード・ガロピンと、新たに加わったクリスチャン・コケが担当した。基本的には前年に投入したJH23とほとんど変わっておらず、外見的にも何が異なっているのかを判別するのは困難である。
エンジンは前年に使用した、自然吸気3.5リッター・V型8気筒のフォード・コスワースDFZを搭載した。ハイニ・マーダーがチューンとメンテナンスを担当したものであるが、既に改良型のDFRが販売されており、仕様は88年と変わっていないようだ。前年途中にはコスワースからDFZをDFRにするアップデートキットが販売されていたが、資金に乏しかったためかAGSはこれを導入しなかった模様である。


AGS JH23B_3

ドライバーは前年所属したストレイフをエースに据えたことに加えて、新たに88年ドイツF3チャンピオンでマンフレート・ヴィンケルホックの弟であるヨアヒム・ヴィンケルホックを起用した。ただし前年に出走していなかったヴィンケルホックの41号車は予備予選参加義務を課せられている。スポンサーはフォレの他、リキモリがついた。またヴィンケルホック起用のためか、R.J.レイノルズのドイツ法人からキャメルのスポンサーを得ている。エントラント名はリキモリ・フォレAGS。カラーリングは濃紺と銀に変更された。


AGS JH23B_4

開幕前にはブラジルのジャカレパグアで合同テストが行われていたが、これにAGSは参加した。2台のJH23Bを持ち込んだチームであったが、ストレイフがタイム計測中にクラッシュしマシンは激しくウォールにぶつかった。この事故の怪我と救急体制の不備からストレイフは脊髄を損傷し、レーサーとしての生命を絶たれてしまう。ドライバーとしてだけでなくスポンサーを引き合わせるなど多くの貢献をしてきたストレイフの負傷によってチームの士気は著しく下がり、AGSは開幕戦ブラジルを1カー体制で臨むことになってしまった。


AGS JH23B_5

ストレイフを欠いた開幕戦ブラジルGP。ヴィンケルホックはルーキーということもあり予備予選落ちに終わる。おまけに87年に給与未払いの件でロベルト・モレノから訴訟を起こされてしまった。


AGS JH23B_6

AGS JH23B_7

第2戦サンマリノGPで、ストレイフの穴を埋めるべくチームはガブリエレ・タルキーニを起用した。89年開幕前に彼はファースト・レーシングのドライバーに決定していたが、チームは資金難と技術的問題から参戦を撤回してしまったために放り出されてしまったものである。ヴィンケルホックは予備予選落ちに終わったが、予備予選を免除されたタルキーニは18番グリッドを獲得。レースも無事に8位で完走している。


AGS JH23B_8

AGS JH23B_9

第3戦モナコGP。やはり予備予選の壁は厳しく、ヴィンケルホックは予備予選落ち。
一方タルキーニは非力なコスワースDFZ搭載ながらも健闘し予選13番手を得る。レースも途中までポイント圏内を走行していたが、46周目に電気系統のトラブルでリタイヤ。タルキーニのJH23B-036には、前方にエアインテークを備える蓋のようなインダクションを持つ新型のエンジンカウルが投入された。


AGS JH23B_10

第4戦メキシコGPもヴィンケルホックは予備予選落ち。新たに6速ギアボックスを投入したのだが、このギア比がサーキットにマッチしていなかった。リアウィングも翼端板の下部を切り欠いた新型を投入している。一方タルキーニは予選17位からスタートし、6位でフィニッシュしてチームに初ポイントをもたらす。


AGS JH23B_11

第5戦アメリカGP。やはりヴィンケルホックは予備予選落ちに終わる。タルキーニは後方の24番グリッドからスタートしたが、リタイヤが続出する中6位を走行していた。ところがファイナルラップに電気系統のトラブルが起こりDFZは不調をきたした。結局スローダウンしてしまったタルキーニは7位にいたウィリアムズのティエリー・ブーツェンにかわされ、最後の最後でポイントを逃してレースを終えてしまった。


AGS JH23B_12

第6戦カナダGP。予選25番手からアクシデントをくぐって6位に浮上したタルキーニだったが、6周目に単独スピンしてマシンが止まってしまいリタイヤに終わる。ヴィンケルホックは予備予選落ちだった。


AGS JH23B_13

チームの地元である第7戦フランスGP。その前に行われたシルバーストーン合同テストに新車JH24を登場させたチームであったが、今回はスペアカーとされた。ヴィンケルホックは最下位で予備予選落ち。タルキーニは予選21位を得る。だがレースでは30週目にエンジントラブルでリタイヤと無残な結果に終わる。ずっと予備予選落ちを続けてきたヴィンケルホックだったが、このレースの後に解雇された。


AGS JH23B_14

第8戦イギリスGP。ヴィンケルホックの後釜についたのは、ラルースを解雇されてシートを失ったヤニック・ダルマスだった。だがダルマスは予備予選落ちに終わる。タルキーニも29位で予選落ちだった。このレースで結果を出せなかったことで、それまで予備予選が免除されていた40号車もこの義務を課せられる、予備予選組への転落が決定した。またヴィンケルホック解雇により、リキモリもスポンサーを離れている。


AGS JH23B_15

AGS JH23B_16

第9戦ドイツGP。JH24は準備が間に合わずスペアカーとされた。このレースからJH24と同型のインダクションつきエンジンカウルを投入しており、JH23BのスタイルはJH24に近くなった。エンジンがフォード・コスワースDFRに換装されていたかは定かではない。
予備予選をアタックした二人だったが、タルキーニは開始直後からスロットルとクラッチに問題があり、タイムを出せず33位で予備予選落ちに終わる。ダルマスはシーズン当初に乗っていたラルースのミケーレ・アルボレートに0.001秒差まで迫ったのだが、あえなく予備予選落ち。


AGS JH23B_17

第10戦ハンガリーGP。ようやくJH24-037がタルキーニのレースカーとなったが、ダルマスは相変わらずJH23Bのままだった。タルキーニは35位、ダルマスも33位で揃って予備予選落ちに終わる。ダルマスはそれまでタルキーニが使っていたJH23B-036にスイッチしている。


AGS JH23B_18

第13戦ポルトガルGP。チームはタルキーニ用に前戦で投入したJH24-038に加えて新車の039をスペアカーに用意していたが、ダルマスは画像のようにJH23Bを使用していたようである。mtaのロゴの位置から判断すると、それまで使用していたJH23B-036のようだ。前戦イタリアGPではダルマスもJH24を使用していたが、何らかの問題があったのか理由は不明だ。ダルマスはトラブルのためかノータイムで予備予選落ちに終わる。



AGS JH23B_19

とにかくチームは資金難で、それを株式売却で乗り切った矢先のストレイフのアクシデントと、89年のAGSは大きな波に揺さぶられていた。スタッフの補強も間に合っておらず、新車の投入は遅れに遅れて中盤も過ぎようかという時期になってしまったのもマイナスだった。モナコGPやカナダGPで見せたパフォーマンスからもJH23Bは悪いマシンではなかったが、非力でアップデートされていないフォード・コスワースDFZはマイナス要因でしかなかった。そのような状況でタルキーニは奮闘していたが、成績は今一つで後半戦には予備予選組へと転落し状況は悪化した。新人のヴィンケルホックは予備予選を通過させるには酷な環境だったであろう。続けて加入したダルマスもヴィンケルホックよりは良かったが、マシンの性能が及ばず予備予選落ちを繰り返すだけだった。チームはJH24投入に希望を繋いだが、資金不足ではマシンの数を揃えることもままならず、いつまでもJH23Bに頼るしかなかったのである。予選最高位は第3戦モナコGPでの13位、決勝最高位は第4戦メキシコGPでの6位で、いずれもタルキーニによるものだった。


AGS JH23B_20

90年シーズンを前にJH23Bを使用してテストが行われた。スポンサーロゴは全て剥がされている。


JH23Bは3台がJH23から改修された。
JH23B-034はJH23-034から改修され、開幕戦ブラジルGPから第7戦フランスGPまでヴィンケルホック車だった。第8戦イギリスGPと第9戦ドイツGPはダルマスが使用したが、第10戦ハンガリーGPから第12戦イタリアGPまではスペアカーとなっている。第13戦ポルトガルGPはおそらくダルマス車だったと思われる。

JH23B-035はJH23-035から改修されストレイフ車として用意されたが、開幕前のテストで大破した。その後は廃棄されたと思われる。

JH23B-036はJH23-036から改修され、第2戦サンマリノGPから第9戦ドイツGPまでタルキーニ車だった。第10戦ハンガリーGPと第11戦ベルギーGPはダルマスが使用している。
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  1. 2016/04/19(火) 04:53:21|
  2. F1マシン
  3. | コメント:4
<<AGS JH22B | ホーム | AGS JH23>>

コメント

悪い車では無いんだけども…基本的なツボは押さえてますよね…
F1モデリングがベネトン188三栄がベネトン190と~丁度このあたりをネタにしていますね…ハイノーズで博打に勝ったタイレルと~モノコック幅を狭めるのに失敗したマーチ…まあ、これらは、プライベートV8勢でも別格ですかね…
しかしまあ「町長さんがタニマチ」~地元愛に感動モノ!何処かの運送屋さんに、爪の垢でも飲ませたい話でした(^_^;)
  1. 2016/04/19(火) 18:06:35 |
  2. URL |
  3. 1418gr5 #ZdfQhLTQ
  4. [ 編集 ]

後半の「JH24風」のJH23Bに苦しめられています(判別難しい

1418gr5さん

>悪い車では無いんだけども…基本的なツボは押さえてますよね…
ちょっと歪なダラーラなんかよりはずっと普通なカタチしてます。
そして一年落ちでなぜタルキーニがポイント取ったり入賞圏内走ったりしてるのかがよくわからない。
マシンがそこまで悪くなくて、タルキーニの踏ん張りがあるんだとは思いますが…
この見てくれでポイント取ってるのがなかなか
不思議な気がします笑

>丁度このあたりをネタにしていますね
AGSなんか絶対取り上げられそうにない笑
個人的にはDFZ~DFRの詳しい解説を読みたいところですが。
  1. 2016/04/20(水) 00:14:35 |
  2. URL |
  3. Bou_CK #Y17400wE
  4. [ 編集 ]

不思議なクルマ

更新お疲れ様です(´▽`)

去年のクルマをそのまんま走らせてるだけのにポイントを獲得してるとか、スポンサーもお金もないのに2台体制にするとか、なんとも不思議ですね。車体とドライバーがいいんでしょうね。この車体に最新型のフォードエンジンを載せたらポイント圏内をうろちょろしていたのかもしれませんね。

予選順位が30番台ってこの時代ならではですね。当時、中継を見てましたが何回予選をしているのかよくわかってなかったです(´▽`)
  1. 2016/04/20(水) 06:50:52 |
  2. URL |
  3. ぽこぽこ #-
  4. [ 編集 ]

ぽこぽこさん

序盤はそこそこ戦えているあたり悪くないように見えるんですよね。
あとはタルキーニの補正がかなりでしょうけど。
ただいいエンジン積んでもこのチームのエンジニアリング面では
どうなのかな、という疑問が笑

>予選順位が30番台
予備予選何位、という表記にするか迷いましたがトータルの順位でつけることにします。
  1. 2016/05/01(日) 21:30:23 |
  2. URL |
  3. Bou_CK #Y17400wE
  4. [ 編集 ]

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